理事長のごあいさつ

マザーシップ保育園の原点と未来

①「あたたかい心を育てる運動」と「育児の原理」

マザーシップ保育園の保育理念、教育の原点は、赤ちゃん、こども一人ひとりに「あたたかい心」を育むというスローガンのもと、育児の神様の内藤寿七郎博士、漫画家、手塚治虫、父であるアップリカ創業者、葛西健蔵が昭和45年に設立したアップリカ育児研究会と「あたたかい心を育てる運動」にあります。

葛西健蔵は、終戦間もない時期に会社経営の傍ら、道を外れた人間の更生に奔走した運動家でもありました。人間形成には幼少期におけるこどもと母親との関係性が重要である点に着目し、育児研究と運動が始まりました。

昭和64年、アップリカ育児研究会より「育児の原理」という一冊の本が出版されました。
これは内藤寿七郎先生の御著書28冊を一つに纏めたものです。ここに書かれているのは特別な英才教育法などではありません。内藤先生の言葉は子育てや人としての原則です。

本書の中に「まなかい」という言葉があります。
「目と目が合うこと」という意味で使われています。そして、育児の基本は、赤ちゃんの目を見ることにあるとも言われています。
「まだ言葉がよくわからない赤ちゃんでも、目と目で対話ができるわけですが、この、目による〝心の対話〟は、赤ちゃんの健康な心身を育てるために、たいへん重要なことなのです。

やさしい気持ちで赤ちゃんを抱き、赤ちゃんを見つめてあげればいいのです。それだけで愛情が伝わり、赤ちゃんの心は安定するのです。こうした目で伝える愛情は、いくら赤ちゃんにふり注いでも、与えすぎになることはありません。」本書より

本書を読めば、変わらずそこにあり続ける普遍的なものの大切さに気づかされます。また柔らかな文体で書かれており、読まれた方からはホッとする、育児で辛い時期に救われたなどの言葉を頂いています。雑誌AERAが選ぶ育児書部門の中で1位の良書として選ばれるほど一般の方からも大変広く受け入れられています。

また、平成28年にはアップリカ育児研究所より東京大学名誉教授の小林登先生の御著書「母学」を出版しました。東京芸術大学と共同で「母学会議」を開催し、子をもつ全ての人の力になれるよう今日まで活動を続けています。

紋章
②「保育の実践」と「モンテッソーリ教育」「臨床美術」との出会い

そしてこれまでの研究や育児の原理を社会に伝える実践の場として選んだのが「保育園の経営」と「子育て支援」であり、平成21年にマザーシップ船場保育園を開園しました。マザーシップという名は、私がアップリカの社長時代、米国ハーバード大学との共同研究により開発していたおもちゃのブランド名から由来しています。

保育園を経営する中、子どもの育ちは「まなかい」から始まり、周囲の大人とのあたたかな関係性が安全基地となり、そこからの自立、探求へとつながるということ、また子育て支援の重要性と「育児の原理」や「母学」に書かれたことが、保護者の方々の助けになると実感しました。

そして、マザーシップの保育を形造ったもののひとつにモンテッソーリ教育との出会いがあります。20世紀初頭にイタリアの医師マリア・モンテッソーリによって考案されたこの教育法もまた、普遍的な原則に基づくものです。

「人は自らの力で育つ」またはその力を宿すことを大人は疑ってはいけない。あれこれ口を出すのではなくそっと見守る。この原則は保育士が常に心にとどめるべきものだと思います。また、保育環境を整備する上でもモンテッソーリ教育の考えは無くてはならないものとなっています。

また、数年前よりアートセラピーの一つである臨床美術を取り入れ、豊かな感覚、感性を育てる教育にも力を入れています。
「人に寄り添うアート」とも呼ばれるこのメソッドは、互いの個性を認め合うということを大切にしていて、他者との関係性を育む上でも大変有用であると期待を寄せています。

創設以来マザーシップ保育園で培われたきた力とは、問題が起きた時こそ「育児の原理」「母学」を通して人の育ちとは何か、あたりまえの原則に立ち返り、保育士と学び続けることにあると思います。
これからも子育てに悩むお母様、お父様がたの力になり、未来を生きる子どもたちの「生きる力」を育むことに力を尽くして参ります。

マザーシップ保育園理事長

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