子育て世代を支援するためにも保育業界は重要なお仕事と言えます。

しかし、現在保育士の離職率が高まっています。

では、実際に保育業界にはどのような課題があるのでしょうか。

今回の記事では、保育の課題と解決策をそれぞれ紹介していきます。

保育業界の課題

保育の課題や問題点は主に以下のようなものがあります。

・待機児童の解消

・保育士の人材不足

・潜在保育士の復職

・保育士の職場環境の改善

・保育士の精神的ケアの充実

そこで今回の記事では3つの問題点に着目し、どのような課題なのか、改善に向けた取り組みについて解説していきます。

保育業界の課題①待機児童問題

保育業界の最大の課題は、待機児童の問題です。

厚生労働省の2019年度の「保育所等関連状況取りまとめ」によると、待機児童数は16,772と、前年よりも3,123人と減少傾向にあります。

しかし、依然として待機児童の解消には至っておらず、全体の待機児童のうち、0歳児が2,047人(12.2%)、1歳児~2歳児が12,702人(75.7%)、3歳児以上が2,023人(12.1%)となっており、特に1歳児~2歳児の保育ニーズに合わせた保育事業の展開が求められています。

大都市では、さらに待機児童が集中していることも問題になっています。

改善策

国としての待機児童問題の改善策は以下のものがあります。

・3歳~6歳までの保育活動を行う幼稚園を0歳~6歳までの保育を可能とする認定こども園への移行、増設

・0歳~2歳までの子どもの保育の受け皿として地域型保育園の増設

・各市町村に「保育コンシェルジュ」を配置し、地域の保育ニーズに把握、受け皿の整備

このように大きな枠組みの支援策だけでなく、各地域の待機児童問題に合わせた取り組みもあります。

保育業界の課題②保育士の人手不足

保育業界の課題は、保育士の人手不足です。

厚生労働省「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」資料によると、20204月の保育士の有効求人倍率は2.45倍と人材確保に向けた競争が高まっています。

また、待機児童の解消のために保育施設の増設に力を入れても、働く人材の確保が出来ないと意味がないため保育士の人手不足は大きな課題と言えます。

改善策

国としての保育士の人材不足の解消に向けた取り組みは以下のようなものがあります。

・通常の保育士試験を年1回から2回に増加

・地域の保育士を育むため、「地域型限定保育士試験」の導入(地域型保育士となった場合、登録後の3年間は地域限定の保育士として働き、4年目以降は全国で働くことができる)

・保育士マッチング強化プロジェクトの創設(ハローワークによる未紹介・未充足求人へのフォローアップの徹底、地域の保育ニーズに合わせた求人充足支援

また、民間企業では保育の「人材紹介会社」や「派遣会社」が誕生し、保育施設の必要性に応じた人材の紹介も活発となり、需要も高まっています!

保育業界の課題③過酷な労働環境

保育業界の課題は、過酷な労働環境です。

保育士は保育活動だけでなく、施設の衛生・安全管理や連絡帳などの文書作成、保護者対応などさまざまな業務をこなす必要があります。

また、人手不足のため一人ひとりの業務負担が多く、過酷な労働環境の中で、

「持ち帰り残業が多い」

「労働時間が長い」

「休日が取れない」

などさまざまな問題があります。

改善策

国としての保育士の労働環境の改善に向けた取り組みは以下のようなものがあります。

・保育士の待遇改善(2019年度よりも約1%(月額3000円程度)改善、技能や経験に応じて、5,000円から40,000円の給与改善)「保育の現場・職業の魅力向上検討会」を行い、労働環境を改善した実例の保育施設情報の共有

・保育施設でのICTシステム(情報通信技術)の活用による書類作成業務の省力化を目指し、補助金制度によるICTシステム導入を支援

ICTシステムを導入したことで、保育士の業務負担の軽減につながりました。

また、園内でキャリアアップシステムを導入し、昇格することで手当が増える仕組みを作り、給与の昇給についてより明確化することが求められてきます。

さいごに

保育業界の問題点について、待機児童問題や保育士の人手不足解消、職場環境の改善などさまざまな課題を紹介してきました。

ICTシステムの導入により、保育士の業務負担の軽減につながるため、積極的に取り組むようにしましょう。